次は「人材の壁」です。ここで指すのはマネージャーや店長など幹部人材のことです。必要な幹部人材とは言われたことを実行する人材ではなく、自ら判断する能力を持つ人材です。理想的な組織は人体に例えられます。人間は五感からの情報を脳に集め指令を出します。しかし、痛い・熱いなど重大な情報に接したとき「反射」という行為が行われます。組織における現場判断です。これが出来ない組織は迅速な対応ができない、指示待ちの組織となります。これでは10店舗の壁を超えられません。接客スタッフは採用の条件を良くすれば集めることはできますが、幹部となる人材を発掘することは容易ではありません。これは「育てる」ことと「選別する」ことを同時に行うしかありません。

育成に必要なことは何か?それはアウトプットです。

「やって見せ、言って聞かせて、させてみせ」(山本五十六海軍元帥)、です。経営者の仕事である意思決定の経緯をしっかりと見せること、そしてより重要なことが参画させることが必要です。幹部候補メンバーに意思決定を透明化していますか?社長と同じ情報を与えていますか?判断をさせていますか?

情報を与えることにはリスクがあります。社長を超える判断力を持つ幹部がいた場合、主導権を奪われる危険もあります。ただし、これを乗り切らなくては10店舗の壁を超えることはできません。